1.覚醒

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  心の中だけで明日には忘れるような懺悔をして、両親の決めた “夕食は家族で!”というルールにおとなしく従った。  笑うと少年みたいに幼くなる、太陽みたいなお父さん。  怒っても全然迫力のない、少女のように微笑むお母さん。  我が親ながら可愛い二人。  両親を見ていると、理想の夫婦っているもんなんだと希望が持てる気がする。  ただ、週末の深夜になると、あたしの部屋にまでこの夫婦の秘め事の音と声が聞こえて来ることは、当の本人達にも内緒。  これは家庭にとっては国家機密より重要。  何たってお父さんは静かにしているつもりだし、お母さんも声を抑えているつもりなんだから。  そんな気遣いが伝わる以上、親の沽券を守ってあげるのも子の務め。  中学生になる前には両親が何をしているのかはもう判ってたから、あたしはヘッドフォンで回避するようにしてる。 .
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