猫又

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小さいころに親に捨てられ祖母に預けられた俺。 捨て犬とか捨て猫をよく拾って来ては、祖母を困らせていた。 今なら分かる。 彼らを自分に重ねていたんだて思う。 動物にだって意思や感情はある。 小学校5年生の雨の日の帰り道。 商店街の片隅に小さな段ボールに入れられて捨てられていた華の母親 「ちろ」 寂しそうに泣く彼女を見捨てられずに連れて帰った。 そして、祖母の反対を押し切り、家族に迎え入れた。 勿論、名前は俺がつけた。 ちろは華を産んだ次の日に車に跳ねられて死んだ。 19歳になった日だった。 だから華はちろの忘れ形見で俺の娘みたいなものだった。 母親を知らない華。 母親を知らない俺。 華は俺がいないと何もできなかった。
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