永遠の別れじゃあるまいし

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月明かりだけがその場を照らす場にいるのは三人の男と一人の女。 しかし、三人の男は口を開く様子が全く見られなかった。 その状況に痺れを切らしたかのように彼女が口を開く。 「ねぇ、これからしばらく逢えないってのに何も言ってくれないの? 何も言わないならもう行っちゃうわよ?」 そして彼女は薄い桃色の頬をムスッと膨らました。 そんな様子を見た派手な着物を着ている男がようやく一言呟く。 「……気をつけろよ」 「気をつけるって言っても… 私これから敵のど真ん中に飛び込むのよ?」 「確かにそれもそうか」 「ほら、君に似合うだろうと思った あちらででも着るといい」 長髪を風に靡かせている男が着物を彼女に手渡した。 「またすごく値の張りそうなものを… ありがとう、大事に着るね ねぇ、アンタは何もないの?」 そう言って、彼女は未だに一言も話さない男に視線を向ける。 その男はとても機嫌が悪そうにこちらを睨んでいた。 「だって……僕は君の傍に居られないのに、あいつらは君の傍に居られるなんて納得いかない だいたい君が行くことに僕は賛成なんてしていないんだから」 あぁ、すぐ殺気出るんだから… どうにかして隠せないのかしら 「大丈夫よ、たまには逢いに来るから それに私はなれ合う為に行くわけじゃないのよ?」 「当たり前でしょ なれ合ってなんかいたらすぐ連れ戻すよ」 「ねぇ、しつこい男は嫌われるって知ってる?」 「…じゃあ僕からはこれがせめてもの餞別」 チュッ そう言って、男は彼女の額に自分の唇を押し付けた。 「すごく嬉しい餞別ありがとう、じゃあ行くね」 「いつでも帰ってこい」 「行儀良くするんだよ」 「男に近付かないでね」 最後の言葉に対して、彼女は苦笑しながら言葉を返す。 「それは無理 だって私がこれから行くのは“新撰組“なのよ」 彼女はひらりと手を振ると、彼等に背を向けて脚を進めた。 「夜が明ける前に着くようにしなくちゃ」 薄暗い道を歩き続ける女が一人あり。 .
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