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「母さん!信じるな!!見逃す保証が、どこにあんだよ!!」
しかし彼女は首を振った。
「砂粒程の可能性でも私は賭けたいの」
涙を目一杯含みながら少年は叫ぶ。
「だとしても俺は殺せない。それに殺させない。誓ったんだ、俺はもう逃げないって。だから……」
もらい泣きしたのか彼女にも一筋の雫が光って見えた。
しかしそれでもなお変わる事なく彼女は少年に促した。
「私だって辛い、けど親はどんな事があっても息子には生きていて欲しいの」
そう言った時遠くの方で物音がした。
「さっさと決めろよな。殺すか殺さないか、たったその二択だけだろ?」
溜め息をつき、手のひらを押さえながら言った。
視線だけは定期的に扉をみる。
歯軋りしながら少年はこっちを睨んでいた。
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