壱夢 「始まりしとき」

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「うぉぉぉぉーーーーーー」 とにかく走るしかなかった。 諦めて美しい景色を歩いて眺めたいという願望を振り払い、心臓のドラムを早打ちで奏でながら桜並木の川沿いを走る。 心の不安を煽ると分かりつつ視線を素早く時計に向ける。 入学式早々、遅刻者というレッテルが貼られるまで後五分。 これは体育館までの距離を考えると十中八九の確率で間に合わない距離だ。 (1、2割に賭ける!) 酸素節約の為心の中で叫ぶ。 走って走って走って走って走ってした時、視界の端に学校が見えた。 しかしながら頭の中は白く霧がかった状態で、いつ倒れてもおかしくなかった。 (あと……すこし………) 肺が酸素をくれと胸を必死で叩いているのを無視して走る。 だからだろうか、目の前に人が倒れてる事にも気付かず走ったのは。
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