零夢 「prologue」

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無数の斬り傷がある大広間に風がなびく、が終焉とは思えないほど熱く重い。 戦いは終わってない、と思わせる焦げ臭い風が舞い込む。 目の前の赤い絨毯はその価値を失われ、斬り刻まれていた。 そしてこの城の主は自ら………いやこの俺が殺した。 その遺体は絨毯に倒れていた。 彼は忠実だった。 極めて稀な忠実さをもっていた。 人がどうあるべきか、正義とは一体何か、それを一番よく理解していた。 ただ、国に忠実でありすぎた彼は忠実さ余って殺された。 (いや、言い訳に過ぎないか) と心の中で呟く。 革命軍のリーダーとなった彼は国にとっては危険分子でしかなかった。 そして国によって任務によって、そしてこの愚か者によって殺された。 俺は剣を拾い上げ、傷があるのか探すように眺め、自分の何もない鞘に収めた。 そして彼の手のひらにある剣の指をほどき、その剣を彼の鞘にいれ背に背負った。
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