壱夢 「始まりしとき」

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(う、何を喋ればいいんだ?) 砂を払いつつ考える、が何か忘れ物してるような気がして何も浮かばない。 話題を探そうと周りを見渡していると彼女は唐突に声をかけてきた。 「その制服って真野高校のだよね?」 真野高校は俺が合格した高校である。 よく見れば彼女も真野高校の制服を着ていた。 「あ、うん。そうだけど。って何で笑うの?」 ?を浮かべている俺に彼女はクスクスと手を当てて笑ったまま聞いてきた。 「学校、行かなくていいの?」 その瞬間、チャイムが遠くで聞こえだした。 「あぁぁぁぁーーー!」 悲痛な叫びが虚空を木霊する。 頭を抱えて崩れる俺。 タイミングは抜群、テンションは急降下。
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