壱夢 「始まりしとき」

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(最悪だ。これで確実に遅刻者というレッテルが張られる) 落ち込みレベルは半端なく、地面に穴を空ける気かと自分でも聞きたくなる程沈んだ。 「ちょっと、へこみ過ぎよ」 未だに笑っている彼女。 「ははははは……、そりゃ初日に遅刻っていうのはへこむよ」 自嘲しながら無理矢理立ち上がる。 笑っている彼女を恨みがましく見ていると今更ながらに気が付いた。 「あれ?、んじゃ何で君は学校に行かないんだ?」 同じ制服を着ているならば同校で入学式が同じはず。 つまり彼女も行かなくてはいけないはず。 「ただ単に両足を痛めただけよ。ちょっと転んでね、周りに人はいなかったし携帯持ってないから痛みが治まるまで座ってたと言う訳」
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