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左右の剣が音を奏でながら表に面したバルコニーに赴いた。
眼下に見える紛争。
未だ人と人とが争い、時間が過ぎていく度に尊い命が失われていく。
国の為に戦ってる者、大切な者の為に戦ってる者。
そこに大差はないはずなのに、いつの間にかすれ違い、今は両者がぶつかり合い、地面に色濃く血と汗を染みこませていた。
その光景を見て、今自分が背負っている 『責任』という名の重荷を思い出し、深呼吸して大声で叫ぶ。
「シルナ・スラッカーを討ち取った! これより残りの革命軍の探し出しを行う! 革命軍は潔く諦めて剣を捨てろ!」
勝利の軍配がどちらに上がったのかが分かり、革命軍は戦意を喪失して剣を落とす。
革命軍を捕まえる国軍には安堵と喜びが見えた。
そんな国軍の感情とはまた違う別の感情が心の中で渦巻き、しこりの様に残っていた。
その感情を否定するかのように、体はこの場から立ち去ろうと赤扉に向かう。
足取りは重く、足を引きずるような動きで扉に向かう。
扉のノブに触れたとき、まだ用事が済んでない事をふと思い出した。
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