零夢 「prologue」

6/12
前へ
/44ページ
次へ
未だ目が暗闇に慣れてない所為で壁際まで飛ばした相手の姿が見えない。 薙払った事を悔やむ。 少しだけ見える目を使って辺りを見回すと近くにランプがかけられていた。 そこで剣を取り出し、軽く二度叩く。 するとくすぶっていた薪の塊が勢いよく燃えだした。 爛々と部屋を照らしていく中、自分のものとは違う床の軋む音が真後ろで聞こえた。 反射的に体が動き剣を構えようとした。 だがランプの装飾に引っかかり体だけが音の方向を見る。 そこに立っていたのは12.13くらいの少年だった。 この世界では珍しい黒髪で中肉中背の赤い眼が印象的な少年だった。 しかし子供と言えども剣を携え刺してくる姿をコンマ単位前に見たならば身に危険を感じるものだ。 剣か素手かを瞬時に反応し左手で止める。 剣を取り出す前に刺されると感じ取ったまでは良かったが流石に片手では止められず手に刃が食い込む。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加