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ここは幻想郷の境、博霊神社。主である巫女の博麗霊夢と、友人の霧雨魔理沙が、畳の間で一人の男を迎えていた。
「あんたねえ、紫が落としたのがたまたま魔法の森の魔理沙ん家の近くだったから良かったものの、ここは人食い妖怪も出る危険な場所なのよ?」
「心得ている」
「知っててその余裕なの?呆れたわ……どうしようかしら、ねぇ魔理沙」
「私に振られても困るぜ」
霊夢は困惑していた。外来人は普通、突然の自分の境遇に慌てふためくもの。しかし目の前の外来人はそれどころか、神社に着いた途端意味のよく分からない事をやけに論説風に語り出すから驚いていたのだ。
「問題は無いと言っているだろう」
蟻龍と名乗った男は立ち上がるとそう言った。
「とにかく俺は幻想郷を探索したいのだ。出ていかせてもらっても良いかな?」
「あのね、私の話聞いてた?外はそれなりに危険なのよ?話の通じる相手ばかりとも限らないの」
「大丈夫、俺はこれでもノーマルシューターだ」
「意味分からないわ……」
ついに霊夢はお手上げという感じで首を振った。入れ替わりに魔理沙が喋り出す。
「なら私が案内するぜ。その代わり、外の世界について色々話してくれよ」
「ああ、良いだろう。ところで、俺は飛べるのか?」
霊夢は畳にたおれこみ盛大にため息をついて右手で目を覆った。
「魔理沙、あとはあんたに一任する」
「任せとけ、変な奴の扱いは一流だぜ」
「私は永遠に三流でいいわ……」
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