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数分後、魔理沙と蟻龍は二人で空を飛んでいた。魔理沙は普段通り箒に乗って、そして蟻龍は両腕を組んで横向きに直立した姿勢で風を切っていた。
「いい眺めだ」
「紫のやつが能力をくれたのかもな」
「どうだろうな。もともと俺が持っていたのかもしれんぞ」
「そーかもな」
「ところで」
蟻龍は上空で立ち止まると、魔理沙の顔を向き直った。
「どこへ向かっているんだ?」
魔理沙は蟻龍の瞳を真っ直ぐに見つめ笑顔を返す。
「紅魔館だぜ。とりあえずあの辺りからぐるっと回ろうと思う」
「紅魔館か……興味無いな」
「は?」
少女は思わず三角帽を吊り上げる。眩しい太陽光が金髪に反射し顔は陰る。
「なんだって?」
「紅魔館にはあまり興味が無いと言ったのだ。確かに紅魔組は人気だが、俺は特に好きではない。どこか他に無いか?」
「そういえばさ」
魔理沙は質問を質問で返した。
「あんた、幻想郷についてすでに詳しいだろ」
「まあな」
蟻龍は胸を張って答えた。
「……それなら、案内する必要もないんじゃないか?」
「そうなるな」
魔理沙はゆっくり地面へ、半ば墜ちるようにして降りていった。
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