・第一話・

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 とまあそんな話はどうでもいい。  姉さんを更正させる。そして華々しい高校生活の邪魔をさせない。その目的のために進むだけだ。うん。  改めて廃校舎を見渡すと、一体どれほどの年代物なのかと思わせる木造建て。  窓はひびが入っているどころの話ではなく、ほとんどが原形を留めていない。暴動でも起きたのだろうか、とそんな感じである。  さて、どこから這入ろうか。  見ての通り一階も二階も窓の風通しはいいが、鋭い破片や飛び出た瓦礫も多く危険そうだ。  頭が回っていなかったせいで俺は軽装だし、このまま行くってのはちょっと……。  玄関まで歩み寄って中を覗くと、そこには下駄箱があった。埃やくもの巣が張り巡らされている。  もちろん鍵が掛かっていて這入れそうにない。  そこでふと思いつく。  回り込んでみよう。  よく考えてみれば、姉さんがここに入り浸っていた時もすでに廃校舎だった――ということは、どこかに入り口があるはず。  正規ルートではないので、どこか分かりづらかったり、周りから見えない場所にありそうだ。  そんな風に目星を付け、玄関から時計回りに進んでみる。
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