・第一話・

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 なぜこのタイミングで……。  というか、この状況こそがモロにそうじゃないか。  今まで怖いとか思わなかった方が不思議なくらいホラーしてるぞ、俺。  時折聞こえる水の滴る音や天井の軋む音。風になびく破れたカーテンに、いたずらされたのか紐にぶら下がる人形。……悪意が有りすぎる。  時刻はちょうど深夜零時を回り、いい頃合いだった。  は、早いとこ調べて出よう。  電灯を握る手に力を込めて歩き出す。  適当な教室をしらみ潰しに調べていこうと思ったが、それでは効率が悪い(ホ、ホントだよ)。  ある程度的を絞ってみよう。  先ほどの教室――技術室だったのだが、そこからすぐ近くにあった階段を登り、二階へと上がる。  同じように廊下の両側にはそれぞれ窓と教室があった。  電灯を教室の中に向けながら中を窺う。自然な流れで霊とか見えてしまっても何ら不思議じゃない。  霊感なんか二デシベルもない俺だから、きっと大丈夫だろうけど。 「あー教室まで入る勇気が――!?」  三つ目の教室を過ぎた時、異変は起きた。
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