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『ガシャン』、と。
廊下中に響く音。
さらに呼応するかのように光源が移動する。
咄嗟に電灯の電源を切り、すばやく身を引いて教室側の壁に張りついた。
壁と一体になるみたいに呼吸を抑えて、気配を消す。
嫌な汗が背中を伝ったのがわかった。
――誰かいる。
幽霊とか怪奇的なモノじゃない。あの移動する光源はおそらく懐中電灯によるものだ。
けど一体誰が……。
こんな夜中にこんな廃校舎を訪れるなんて普通じゃない。自分のことは棚に上げるが。
気付かれたまずいだろうか。例えば不法侵入とかで訴えられる可能性。
けどそれを言えばあっちだってそうなる。学校関係者、あるいは市の人間がこんな時間にうろつくというのはさすがにあり得ないだろう。
だとしたら別の可能性。
俺みたいに何かしら用事があって、しかも夜でなくてはならない理由もある。
こっちの方が現実的か。
そこまで考えて顔を上げると、光源は無くなっていた。
消したか、移動したか。
どちらにしろチャンスだ。
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