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いや待て。何がチャンスなのか。
どう考えてもここは大事になる前に逃げるの一択だろうが。
正体は気になるけど――振り返って、
「きゃー!? 出たー!?」
悲鳴が飛んできた。
何が起こったのか分からないまま、なかば反射的に身構える。
しかし間髪入れることなく、
「いやー!? いやー!! うきゃあー!!」
物凄い声量の悲鳴が襲いかかってきた。見ればそれはさっきナニカがいると予測した辺り。四つか五つ離れた教室だ。
「え、うそ!?」
絶句。驚くべきことに、その悲鳴の主はこちらに近付いてきているのだ。黒い影と丸い光が迫る。
「ヤバいヤバいヤバい――っ!?」
逃げる体勢に移る俺。
「キタキタキタキタァアーーー!!」
スピードとテンション(!?)を上げるナニカ。かなり速い。
すぐにこっちも走り出し、階段を目指す。
「――逃げんな、コラァッ!!」
『ガツン』とか「ほぎゃあああ!?」音がして後頭部が「いってぇええ!?」弾けた。
俺はその衝撃に一瞬意識を飛ばされ、床に沈んだ。
二転三転して、仰向けになりながら床の上を滑る。
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