・第一話・

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 いや待て。何がチャンスなのか。  どう考えてもここは大事になる前に逃げるの一択だろうが。  正体は気になるけど――振り返って、 「きゃー!? 出たー!?」  悲鳴が飛んできた。  何が起こったのか分からないまま、なかば反射的に身構える。  しかし間髪入れることなく、 「いやー!? いやー!! うきゃあー!!」  物凄い声量の悲鳴が襲いかかってきた。見ればそれはさっきナニカがいると予測した辺り。四つか五つ離れた教室だ。 「え、うそ!?」  絶句。驚くべきことに、その悲鳴の主はこちらに近付いてきているのだ。黒い影と丸い光が迫る。 「ヤバいヤバいヤバい――っ!?」  逃げる体勢に移る俺。 「キタキタキタキタァアーーー!!」  スピードとテンション(!?)を上げるナニカ。かなり速い。  すぐにこっちも走り出し、階段を目指す。 「――逃げんな、コラァッ!!」  『ガツン』とか「ほぎゃあああ!?」音がして後頭部が「いってぇええ!?」弾けた。  俺はその衝撃に一瞬意識を飛ばされ、床に沈んだ。  二転三転して、仰向けになりながら床の上を滑る。
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