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「お怪我はないんですよね!? 痛いところはないんですよね!?」
涙目であわあわと動揺する女子高生。落ち着くようにと身振りをして、
「さっきから何度も言ってるけど、本当に大丈夫だから。どこも怪我してないって」
答える。本当は内臓が出るんじゃないかって程に腹がよじれてるけど、まあここは空気を読む。
「うぅ……それなら、いいんですけど……もし病院へ行くようなら、連絡して下さい」
おもむろに学校指定らしきバッグから取り出したのは、一枚のメモ用紙だった。
「こ、これは?」
「私の携帯の番号とアドレスです。電話し辛かったらメールして下さい」
「あ、いやそうじゃなくて――」
「ふえ?」
首を傾げる彼女。その仕草が反則的に可愛い。
「あ、私は久慈白真綿(クジシロ マワタ)って言います! すいません、登録する時困っちゃいますよね」
ずいーっと突き出されたメモ用紙。そこには彼女――久慈白真綿の連絡先が載っていた。
ごくり、と唾を飲む。
いいのだろうか、受け取って。こんな美少女の連絡先をこうも簡単に、しかも彼女の方から――
「本当にお怪我が無ければいいんですけど……」
「……」
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