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耳を疑った。
「おもしろ半分遊び半分なんて生半可な気持ちではありませんよ、私は。全身全霊全力を持って幽霊さんのお姿を拝見したいと願っているんですからっ!!」
馬鹿なのかこの子は。本気だからとかそういう問題なのかよ。
俺は呆れてしまったり脱力してしまったりで、次の言葉が出なかった。
ただちょっと怒っているくらいに真剣な表情の彼女を見る。その瞳を見つめる。
彼女の方も一切目線を逸らしたりせずに俺を見ていた。
負けた。負けたよ。
真綿は本当に本気だ。幽霊を、心霊を、その非科学的な存在の証明を確かに願っている。
「やっぱり……引きますよね。こんな子は痛いですよね」
何も言わない俺に対して思ったのか、彼女は沈み始めた。慌てて否定する。
「いや、何ていうか、驚いただけだよ。俺の周りにはそういうタイプいないし」
友達いないし、とは言えないけど。
「そんな風に好きなことを素直に言えるなんてすごいと思う。自分の好きなことくらい自由にやった方がいい」
「……」
「え、え!?」
「……ほえぇ~」
真綿はクラゲみたいにふにゃふにゃと揺れて、何だか照れくさそうにしていた。
一体どうしたというのか。女性の神秘を目の当たりにしながら、真綿を眺める。
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