・第二話・

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「ありがとうございます」 「え?」 「はじめて否定されませんでした。こんなことを言っちゃう私を、冬貴さんは認めてくれました。だからありがとうです。それと――」  一拍置いて、 「私と友達になってくれませんか?」  * 「も、もちろんです」  ……、思い出に答えてしまった。今のは思いっきり独り言だったぞ。  喫茶店で一人コーヒーを飲みながら独り言をつぶやく男。  うわー、友達になりたくねえ。恥ずかしくて死ねるよお。 「何がもちろんなんです?」 「――っ!?」  声がして、テーブルに押し付けるように伏せていた顔を上げると、そこには美少女がいた。  ……。  至福姿、いや違う、私服姿の久慈白真綿だった。  動けない。彼女が眩しすぎてヤバい。ヤバいよ。助けて母さん、俺いま幸せです。 「ど、どうしたんです!? 何だか変ですよ?」  自然な流れで対面の椅子に座る真綿。心配そうに顔をゆがめて俺を見る。 「それにそんなに見られたら恥ずかしいです。穴が開いてしまいそうです」  穴が開いたら大変だ、とは思わずにすぐに目を逸らした。残りわずかになってしまったコーヒーを一気に飲み干す。 「ご、ごめんその、考えごとしてて驚いた」 「そうなんですか。私こそすいません! 声を掛ける前に、今から声掛けますよって言うべきでしたね」 「え?」 「え?」  ぼんっ、と途端に真綿は顔を真っ赤にして、 「変なことを言ってしまいました」
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