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これが天然というものなのだろうか。
うすうす気付いてはいたけど、これが現実か。俺が読んでるラノベより奇だぜ。
「真綿は面白いな。まさかわざと言ってないよね?」
「違います! う~忘れて下さい」
絶対に忘れないことを心に誓いながら、改めて真綿を見た。
水色のワンピースに白いパーカーを羽織っている。華奢な体によく似合う、夏らしい服だ。
こんな可愛い女の子と一緒に喫茶店にいると考えただけで、俺は、俺は――
「お待たせいたしましたー。何かご注文ございますかー?」
「えーと、じゃあこのセットメニューでお願いします。冬貴さんも何か頼みます?」
「……」
妄想から引き戻してくれた店員さんに感謝しつつ、再びコーヒーを注文した。
俺のコーヒーと真綿のセットメニュー(サンドイッチとカフェオレ)が来たところで、本題に入りましょうと真綿は言った。
「本題か。それを聞いてなかったよな。今日はどういう要件なんだ?」
メールで連絡を受けたときも、ただ暇なら喫茶店に来てくださいと言われただけで、何をするか聞いていなかった。
俺もそんなことは気にせずに、舞い上がっていたのだ。
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