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身を乗り出して、顔をこれでもかと突き出してくる。
陶器みたいな白い頬が赤く染まり、両目には涙が浮かんでいる。
「あ、あの、その、」
真綿はそこまで来てから、すごく言いづらそうに口をパクパクさせた。
よほど勇気のいることなのだろう。
他人に理解してもらうというのは、きっとどんなことだって難しい。
だから――
「そういえば俺からもお願いがあった。真綿、俺と一緒に幽霊さんを探してくれないか?」
「――っ!?」
真綿は信じられないものでも見るように、しばらくまばたきを繰り返した。
やがて、
「ふぅえ~」
情けない声を漏らしながら椅子に座る彼女。カフェオレのカップを握りしめ、目をつぶる。
「だ、大丈夫?」
「大丈夫ではありません! 冬貴さんはイジワルですっ」
「え!? なんで!?」
「こんなに緊張したのは小学校の学習発表会以来ですよ」
そう言って、真綿はやんわりとした笑顔をこちらに向けた。
「友達ができるのはいいことですね。改めて実感しました」
心の底から込み上げてくるこの喜びをどうしようか。俺だってこんなに嬉しいのは、……いつ以来だろう。
ちょっと思い出せない。
「冬貴さん、返事をします」
「あ、はい」
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