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「ほぇ?」
真綿は首をかしげたあと、にっこりと微笑んだ。
「つかささんは見た目以上に頑丈ですから大丈夫ですよ」
「なっ、どういう意味よそれ!?」
「だってつかささん体すごい固いじゃないですか」
「何の話だよ!?」
うお、思わずツッコんでしまった。
「ほんとよ。真綿はあたしの前屈見たことあるのって感じなんだけど。それより、」
つかさが俺を見て、いつまで密着してんのよこのエロイソギンチャクとかブツブツ言ってきたので素直に離してやった。
「それで結局どうしたんだよ。何か見たのか?」
「違うわよ。ただ足がすべっただけ」
んなっ、とか言いながら真綿はがっくり肩を落とした。
「それならそうと最初に言ってくださいよ。期待させておいてヒドいですっ!!」
つかさは拳を握りわなわなと震え、
「あ、ん、た、が……勝手に期待したんでしょうが!」
「むう。まあいいでしょう。先を急ぎますよ」
レッツゴーとか一人で気合いを入れ直してから、真綿はずんずん進んでいった。そんな背中に渋々ついていく。
もちろん隣のつかさをなだめながらだ。あそこまで怒っていながら、それでも結局ついて行く辺り、こいつも相当物好きだよな。
まあ、ここまで来て一人で引き返すなんて度胸がないことが大半の理由だろうけど。
そう、何を隠そう俺たちは今、樹海の中にいるのだ(樹海といっても地元にあるしょぼい森林)。
場所はそろそろ中間地点を越えるところで、戻るより進む方が早く国道へと抜けられる。
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