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俺はほとんど反射的に姿勢を正した。
どこか儀式めいたものを感じたのだ。
「こちらこそよろしくお願いします。一緒に幽霊さんを探しましょう」
真綿は満面の笑顔で了承した。
やっぱりそれは俺には眩しすぎて、彼女との距離みたいなものを感じさせられた。
これは劣等感なのだろうか。だとしたら何に。考えてもわからなそうなので、すぐに考えるのをやめた。
いま真綿が笑っていられるならそれでいい。
恥ずかしながら本当にそう思う。
*
「実は今日ここにきてもらったのには、もう一つ理由があります!」
同じ喫茶店。和やかな空気(カップルに見えなくもない、かも)で話していると、真綿は唐突にそう言った。
「もう少しで待ち合わせの時間です」
「待ち合わせ? だれか来るのか?」
「はい! サプライズゲストです」
何だろう。まさか会わせたい人がいるの、とか言って両親が来るパターンじゃないよな。もしくは彼氏とか……。
そうなったら俺はもうこれから生きていく自信がないぜ。
「……どんな人が来るんだ?」
「サプライズですから秘密ですっ」
「あーそれもそうか。まったく予想もつかないな」
真綿はうふふ、とイヤらしく笑った。なんだその含みのある感じは。
よほどサプライズなのだろうか。
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