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その時だった。
出入り口の扉が開いて一人の女の子が入ってきた。
「――っ!?」
言葉を失った。まさにその表現がぴったりな程に茫然自失する。
その女の子は、美少女だった。ギャルゲーに出てきてもまるで不思議じゃない、圧倒的な可愛さ。
肩口まで伸びたブラウンの髪はふわふわにウェーブがかかっていて、顔は精緻な人形みたいに整っていて隙がない。
おまけにモデルのような小顔と体型のバランスは完璧としか言いようがなかった。
シンプルなのにセンスのいい今風な服も彼女の美しさを引き立てている。
真綿が、本気でがんばれば付き合えてしまいそうな身近な可愛さなのに対して――彼女は、眺めることすら有料な高嶺の花といった感じだ。
と、長々とまじまじと見入っていると、
「どうしたんです?」
「え!? あ、いやなんでも――」
真綿が首を傾げる。俺は慌てて真綿に視線を戻した。
それを不信に思ったのか、真綿が振り返る。
美少女は誰か探しているのか、順番に客の顔を見回しているようだった。
「綺麗な人ですねえ。冬貴さんはあの人に見とれていたんですか?」
「見とれていたというか何というか……その、誰か探してるみたいだったし!」
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