・第二話・

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 私から? 真綿が自己紹介する意味があるのか? 「私は久慈白真綿と言います。東山高校一年です。趣味は幽霊さん探しです。では次は『ニードレス』さんお願いします」 「高音つかさ(タカネ ツカサ)。高校は……どこでもいいわよね、そんなこと。趣味は――何だろ、思い浮かばないからパース」 「つかささんですか。よろしくお願いしますね!」 「……よろしく」  がっしり手を組み合わせて握手する二人。ちょっと待て、と俺は我慢出来ずに身を乗り出した。 「……二人は知り合いじゃないのか?」 「いま知り合いになりましたけど?」  何を変なこと言ってんだこのボンクラ野郎、とは思ってないだろうが不思議そうにする真綿。  いやいや、いやいやいや! 「いまって、いま!? つーことは初対面なのか!?」 「はい。さっき初めて会いました。名前もいま知りましたしね」 「なにを騒いでるのよ、うるさいわね。黙って自己紹介しなさいよ」  そう言って水を一気に煽った高音つかさ。すかさず店員が継ぎ足しにくる。 「分かった、分かったよ。俺は宮本冬貴。西海高校一年だ」 「え!? アンタ西海高校なの!? な、何組?」 「A組だけど。どうかしたか?」 「――ッ!? な、なんでもないわよ!」  ……さっきから何なんだこいつは。高音つかさの言動には驚かされっぱなしだ。 「なにはともあれ、よろしくお願いしますね!」  真綿が手を伸ばしてきた。
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