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「どうやって仲間を探そうかと悩んでいた私に、名案が浮かびました。それは普段から情報収集のために懇意にしている『SNSサイト』を使うことです」
ソーシャル・ネットワーキング・システム――まあいわゆるアレである。俺は登録してないけど。
「そこの地元ネタを話し合うコミュニティで、『一緒に幽霊さんを探してくれる方』と募集をかけたんです」
相当電波なヤツだと思われたのではないだろうか。地元ネタのコミュニティで募集をかけるなんて、マジ以外の何物でもないからな。
「私はアバター名こそ『永遠の亡霊』だったのですが、キャラは可愛い女の子だったので、それはもう馬鹿なアバターの入れ食い状態でした」
その中の一人が隣にいるんだが。あえてスルー対象なのか。
「けど、そんな醜い欲望に埋もれた野郎共の中で、『ニードレス』さん――高音つかささんだけは全然違ったアプローチをしてきました。それを見た瞬間、ああこの人しかいないな、と思ったのです」
ね? と真綿は高音つかさを見た。つかさは顔を真っ赤にしてあらぬ方向を向いている。
「――で、結果仲間になったのがこいつか」
「こ、こいつ?」
高音つかさのこめかみ辺りにビキビキと唸る青筋が見えた。
「こいつなんて呼んではいけませんよ! つかささんにはつかささんという立派なお名前があるのですから」
メッと怒る仕草をする真綿。つかさはというと偉そうにふんぞり返っていた。
……多分こいつには俺がその辺にある家具や何かにしか思えないのだろう。背景Aみたいな。
「あー、そういうことらしい。改めてよろしくな。つかさ」
そろそろと手を伸ばした。
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