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『ママとパパがあたしのこと不良になったって騒いでてまくのに時間がかかったのよ。……ちゃんと聞いてんの!?』
「聞いてるっつーの。って言っても真綿もまだ来てないし、そんなに急ぐことないぞ。気をつけて来いよ」
『それじゃアンタが――ふん! まあいいわ。アンタには一人寂しく待ちぼうける姿がお似合いね。それよりちゃんとそこにいなさいよ! じゃっ』
通話終了の音が聞こえてきて、携帯をしまった。
それにしても、あのつかさにも待たせて悪いとか、遅れるからと一言連絡を入れるみたいな常識があったとは。これは驚きだ。
ふむふむと本気で感心していると、
「冬貴さーーんっ!!」
「おう!?」
真綿がすぐ近くの路地の角から現れた。ものすごい叫び声と共に。
「すいません、遅れてしまいました! 一分二秒の遅刻ですね。お金に換算してお返しします!」
「どこのルールだよ!?」
「え、でも他には払えるものが――まさか、体ですか?」
「んなわけあるかあ!?」
全力でツッコむと、真綿は声を上げて笑った。
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