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「冗談ですよ。私の体はそんなに安くありませんから」
「……」
からかわれた。分かっていたのにからかわれてしまった。
「ところでお一人ですか? つかささんが見当たりませんが」
「あーなんか遅れるって。さっき電話があったんだよ。だからもうちょっとここで待とうぜ」
ちゃんといなさいって言われたしな。こんなところで一人にされたらあのつかさだって怖がるだろう。
あれ? そういえばつかさはこういうの大丈夫なのか?
「……電話ですか」
「え? なに?」
「いえいえ。なんでもありませんよ! 待っている間に怖い話でもしましょうか? 幽霊さんが寄ってくるかもしれませんしね」
「うーん、悪くない気はするな。百物語みたいなことだろ?」
「そういうことです。テーマは学校で。いわゆる学校の怪談話ですね! では言い出しっぺの私から――」
これは本当にあった話なのですが、とやけに臨場感たっぷりな口調で真綿は話しはじめた。
*
「お待たせー。ごめんね真綿。ちょっとトラブってて遅れちゃった」
つかさが到着したのは、怪談話を三話消化したときだった。
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