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「大丈夫ですよー。時間は遅ければ遅い方がいいですから」
「き、気合いの入った考え方ね……。っていうかなんでアンタそんなにげっそりしてるわけ!?」
そう言って俺を見るつかさ。かなり驚いた表情だ。それはそうだろう、電話した時は普通だったんだから。
「……今日はやめないか?」
「はあ!? なに、びびってるわけ?」
おもしろいもの(俺)を見つけたのだろう、挑発的な笑みを浮かべた。
これでもかと本領を発揮するつかさは、弱きをくじき強きに屈するみたいな女だ。
「……ああ、びびった。びびったよ、真綿の怪談話には」
「怪談話?」
つかさが真綿を見る。
「はい。つかささんが来るまでの間に話していたんです。そういう話をすれば寄ってくる、らしいですからね。それにしても効果はテキメンです! 冬貴さんが怖がれば怖がるほどに負の感情が高まって、幽霊さんもうじゃうじゃ集まってくるはずですからっ」
「……」
「……」
真性だった。めちゃくちゃ笑顔でそんな事を言う真綿は、もはや気持ちいい。突き抜けている。
「ま、まあ役に立てるならよかったじゃない! アンタはこれからそういう役回りになればいいのよ」
「イヤだーーっ!! シャレにならねぇ!!」
逃げる俺。捕まる俺。真綿の前では一秒も保たないのか……。
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