16人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ早速行きましょうか。私はカメラを持ちますね!」
明るい声で真綿が言う。
気を遣わせてしまったか、と淡い痛みが胸を責める。
真綿はノートに続いてカメラも取り出す。あの時のカメラだ。それからさっきのノートをつかさに渡した。
「え!?」
「つかささんは字が綺麗な気がするので記録係りです」
半ば強引にノートを手渡されたつかさは、少しだけ嬉しそうに中を覗く。
「お、俺は?」
真綿は撮影係り。つかさは記録係り。他に役職が残っているのだろうか。
「そうですねー、庶務雑務ってことでその辺の掃除をお願いします」
「幽霊関係ねえーー!?」
「冗談です」
びっくりしたー。なんで真綿は時々俺をからかうのだろうか。微笑んでるし。
「冬貴さんには撮影場所を選んでもらいます。つまり幽霊さんが居そうな場所ということです。……私が選んでも一度も現れたことながないので。お願いします」
「って言われてもなあ、どんな教室があるのか分からん」
「心配には及びませんよ。どうぞこれを!」
いつの間に取り出したのか、大きめの紙切れがあった。新聞紙みたいに広げて見せてくれる。
「こ、これって――!」
「この学校の見取り図です。避難訓練などで使われるものですね」
さも当然みたいな顔して解説してるけど、そもそもある事自体が不自然だ。普通手に入るかこんなモノ。
最初のコメントを投稿しよう!