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「どう!? 通じた!?」
つかさが俺の服の裾を掴んだ。力いっぱい引いてくる。
「ダメだ。……留守電につながる」
「そ、そんな。どうするのよ!?」
「……」
まさかとは思うけど、真綿の願いが叶ったとかじゃないよな。
幽霊さんの仕業じゃないよな。
こんな形で、こんないなくなり方で証明したわけじゃないよな!
「真綿が戻ってくるかもしれないから、つかさはここにいてくれ。それと電話を掛け続けるんだ」
「アンタ――と、冬貴はどうするの!?」
裾を引く力がさらに強くなる。
「俺はちょっと校内を探してみる。ここは老朽化が激しいから、もしかしたらって可能性もある」
「ダメよ! あたしも行く! ここであたしらまでバラバラになったら――」
「……そうだな。確かにその通りだ」
つかさの手を開いてやって、やんわりと外していく。涙目で見上げるつかさはすごく不安そうだった。
「一緒に探そう。行くぞ!」
つかさの手を取って、走り出した。
「――っ、今だけだからね!」
「わかったよ」
まずは来た道を戻る。後ろにいたんだから、どうやっても俺たちの前に出ることはない。
走りながら教室一つ一つに入って、声を掛けながら探していく。
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