・第三話・

14/20
前へ
/63ページ
次へ
 カーテンが閉められ、月の光も届かない教室は文字通り真っ暗闇。  さらに乱雑に放置された机や椅子のせいで死角が多い。  電灯で照らすたびに何かが飛び出してきそうだ。  そんなのはきっと妄想だけど、それでもこういう非常事態という状況も相まって、恐怖心を掻き立てられているのがわかった。  もちろんびびってる暇はない。  手を繋いだ先、隣のつかさを見る。  携帯を片手に、何度も真綿にかけ直していた。  最初にああ言ってはいたが、つかさも怖いだろう。  人間が音も無く急にいなくなるなんて、それこそ映画の世界だ。普通じゃない。 「もう何なのよ! 全然繋がらないじゃない!」 「つかさ……どこかで休んでるか? あとは俺が、」 「いい! 冬貴は冬貴でちゃんと探して。あたしは別にやめたくなったとか、そういうのじゃないから。大丈夫だから」 「――おう」  教室を出て、さらに先を急ぐ。一階に続く階段を駆け下りた。  途中にある特別教室や職員室に入り、同じような作業を繰り返す。  けど……。  このまま行くともう侵入に使った窓まで着いてしまう。  電話にも出ない。手掛かりもまったくない。  本当にどうしたんだ、真綿。  その時だ。 「――痛ぇッ!?」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加