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後頭部に鈍い痛み(擬音にするとゴスッ)と衝撃を感じて、振り向く。
つかさが拳を振りかざしていた。
「もう一発欲しい?」
「っ、はあ!?」
意味も分からないままに、答える間も無く殴られる。やけに重い拳がおでこに突き刺さった。
「だから! 痛ぇって、何すんだよ!? あ、まさかつかさが犯人か!? 真綿を誘拐し、がっ」
さらにもう一発。今度は魂が耳からちょっとだけ出た。
「アンタばかぁ? んなわけないでしょ。あたしはね、冬貴がぼうっと立ち止まってるから憑かれてるのかと思ったの。けど残念――正気だったみたいね」
こ、こいつは……。そんな理由であんな強力なのを三発も喰らわせたのか。
正気じゃないのはそっちだろ、と言おうとしたところで――
『ピリリリリッ』
電話が鳴った。
「ひゃっ!?」
携帯を落とすつかさ。慌てて拾い上げて、耳に当てる。
「もしもひ――っ、もしもし? あ! ま、真綿!?」
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