16人が本棚に入れています
本棚に追加
「なに!?」
思わずつかさに掴みかかる。しかし電話の向こうの音は聞こえない。
「あんた、一体今までどこに、だから、え? はあ!? はああ!? ……うん、わかったわ。すぐ行くからちょっと待ってて」
――ブチィッという音が聞こえてきそうなほどの勢いで通話を終了するつかさは、明らかに不機嫌だった。
「ま、真綿は?」
「……」
「無事なのか?」
「……」
「お、おい」
つかさが俺を睨む。するどい刃物みたいな目をさらに細めて凄むその様は、まさにサムライそのものだ。
……冗談じゃなく!
「無事も無事よ! あー心配して損した。冬貴と手まで繋いじゃうし。キモチワルッ」
「……下の名前も呼ぶしな」
「っ!? それは、い、いいの。最初から決めてたんだから」
「はいはい。で、真綿はどこにいるって?」
つかさは数秒ジト目で俺を睨んだ。なにか納得できないことでもあるのか。
そうして無言で歩き出す。暗について来いということらしい。
素直に従って隣に並ぶ。
「……こんな風に学校歩くの久しぶり」
小さな声だった。かろうじて聞き取る。
最初のコメントを投稿しよう!