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「ん? ああ、夜の学校なんてなかなか歩けないもんな」
「そういうことじゃ――なんでもない。忘れて。それより見取り図貸して。真綿に渡されてたでしょ?」
差し出された手に見取り図を置く。つかさはそれを乱暴に開いて眺め始めた。
「えーと、二階のトイレだから……ここね」
トイレ? すぐ近くにあった階段をつかさに続いて上り、一階から二階へ。
二階の階段のすぐそばには男女別のトイレがあった。
トイレ?
「冬貴はここで待ってなさい」
「え!? ここ!?」
トイレの前の廊下である。もちろん真綿の姿は見えない。
「そうよ。すぐ戻ると思うからそこにいなさい。質問は禁止」
「……わかった」
廊下の壁に寄りかかる。反抗は無意味だ。おとなしく待とう。うん。
*
それから五分もしないうちにつかさは戻ってきた。
その隣には真綿もいる。
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