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海鳴市
八神宅
「それじゃ、行ってくるな。」
「行ってらっしゃいませ、主はやて。」
「行ってらっしゃい、はやてちゃん。」
訛りのある関西弁と軽快な口調ではやてと呼ばれた少女は家族である二人の女性に見送られていた。
身に纏った制服に似つかない大きなカバンを持ちながらはやては満面の笑みを彼女らに見せつけるとはやての笑顔に釣られ2人もまた彼女と同じように優しげな笑みを浮かべるであった。
「お帰りはいつ頃になられるので?」
「3泊4日やから4日後や。お土産買ってくるから楽しみにしててや。」
「心使いありがとうございます、ただ…体調には気をつけてください。」
「ちゃんと今日は眠れましたか?」
「ありがとうなシグナム、シャマル、ちゃんと睡眠もとったし体調もバッチグーや。」
はやては自分に対して主と呼ぶ女性をシグナム、ちゃん付けで親しみ深く話す女性をシャマルとそれぞれ呼びその二人に再び笑顔とサムズアップで大丈夫とサインを浮かべ2人に返答する。
「張り切ることは良いことですが張り切り過ぎるも問題です、気をつけてください。」
「はやてちゃんこのみんなで行く修学旅行をすごく楽しみにしていましたからね…、よぉーし、はやてちゃんが心置きなく楽しめるように私も頑張らなくちゃ!」
「一応旅行中みんなの食べるご飯はもう先にちゃんと作って冷蔵庫の中に入れといたから、シャマルは他の家事やヴィータとリィン達の世話の方をお願い。
シグナムもザフィーラもみんな喧嘩せいへんようにちゃんと見張ってやってな。」
「了解しました。」
「任せて!」
「おい、私だってもう立派な大人だぞ。
喧嘩なんて…。」
「そういえばこの前近所の子供達と何やら…」
「ザフィーラ!!」
「やれやれ…。」
棘を刺すような口調で話す少女ヴィータと寡黙な男性の要領で人の言葉を話す子犬ザフィーラもまたはやてを見送らんと彼女の側に姿を現わす。
ザフィーラの冷静な物言いにヴィータは突っかかるがその光景をはやては見ては「うん、いつも通りやな。」と安心した顔つきでそう呟いた。
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