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その名刺を、近くの従業員に捨てさせた。 「いいの?」 「いいよ。涼雅も捨てろって言ってたし。あたしを“月崎財閥の次期社長夫人”って見てるんだから」 冬華は言った。 馨も頷いた。 「冬華…困ったらいいなさい!昌樹が力になるから」 「え…僕!?」 「海藤ホテルの御曹司でしょうが!」 「…え?海藤ホテルの御曹司?昌樹が?」 海藤ホテルとは、世界中にあるホテルで…昌樹はホテル王の御曹司となる。 「そんな凄い人だったの!?」 「実はね…だから、月崎財閥とも契約してるし。先生の事も昔から知ってたよ」 「そうだったんだ…」 冬華は改めて昌樹を見た。 「だから、あんたは不似合いとか心配しないの。私だって似たようなものだし」 .
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