18水茶屋姉妹の五・お花とお蜜

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 平次の奇怪な発明品は木賃宿で披露され、遠くまで運ばれた。  このころ、すでに平次とお凛はたかだか木賃宿の主人であるにも係わらず、町人の相談役として街道の町の下り側を完全に締めていた。  すると息子が悪ガキになる。胆力と悪知恵、笠に着た権力。  厳しい母には反発。父はほったらかし。  しかし、ある日。殴られて一間ほど吹っ飛ぶ。  普段越えない橋を越えたときに会ったお花。 「こいつはお咲にそっくりだ」  笑う甚五郎。 「今日も元気だね」 「こっちも元気が出るよ」 「お蜜っちゃんもえらいね」  街道を行くものたちにも人気。特に家族を持つものには微笑ましく映るようだ。  客層は変わった。だが、翼屋は健在。  すっかり看板娘。  しかし目標はある。 「お葉おばさんのように美しく可憐なるの!」 「そいつは無理だろう」  暇さえあれば覗きにきている。木賃宿の平蔵。 「あんた虫歯ができたんだって?殴ったら抜けるかな?」 「できてねえよ」  すっと下がる。そこにお蜜。頭をなでる。 「ほれみろ。お蜜っちゃんの方がしとやかだ」 「ふわ?」 「お蜜はのんびりしすぎだ」  しかし、どこかでいつも人を癒せる。子供の可愛さだけではない。 天然。自然に引き付けられて、そっと気を利かせる。お花には謎だ。  だがそれはどうも人に限らないらしく、目が離せない。それがお花を姉らしくする。
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