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平次の奇怪な発明品は木賃宿で披露され、遠くまで運ばれた。
このころ、すでに平次とお凛はたかだか木賃宿の主人であるにも係わらず、町人の相談役として街道の町の下り側を完全に締めていた。
すると息子が悪ガキになる。胆力と悪知恵、笠に着た権力。
厳しい母には反発。父はほったらかし。
しかし、ある日。殴られて一間ほど吹っ飛ぶ。
普段越えない橋を越えたときに会ったお花。
「こいつはお咲にそっくりだ」
笑う甚五郎。
「今日も元気だね」
「こっちも元気が出るよ」
「お蜜っちゃんもえらいね」
街道を行くものたちにも人気。特に家族を持つものには微笑ましく映るようだ。
客層は変わった。だが、翼屋は健在。
すっかり看板娘。
しかし目標はある。
「お葉おばさんのように美しく可憐なるの!」
「そいつは無理だろう」
暇さえあれば覗きにきている。木賃宿の平蔵。
「あんた虫歯ができたんだって?殴ったら抜けるかな?」
「できてねえよ」
すっと下がる。そこにお蜜。頭をなでる。
「ほれみろ。お蜜っちゃんの方がしとやかだ」
「ふわ?」
「お蜜はのんびりしすぎだ」
しかし、どこかでいつも人を癒せる。子供の可愛さだけではない。 天然。自然に引き付けられて、そっと気を利かせる。お花には謎だ。
だがそれはどうも人に限らないらしく、目が離せない。それがお花を姉らしくする。
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