18水茶屋姉妹の五・お花とお蜜

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「やれやれ、江戸はどうだった?」 「本当に華やか。お葉姉さんは相変わらず。まったく変わらないの」 「噂の息子は?」 「得多屋の周りは若い女だらけ。役者より整った面してやがんの」  辰六もまいったと首を振る。  平蔵はちらりとお花を見る。 「役者みたいな顔か。私自身はそうなりたいけど、そんな男はやだなあ」  みんな笑う。  ほっとする平蔵。 「でもなんでもできるぜ。優しく厳しく、人望がある」 「へえ。さすが私の従兄弟だ」  まるで自分のおかげのように言う。  またみんな笑う。  お蜜がお苗の裾を引っ張る。 「どうしたの?」  お苗はお蜜を抱き上げて膝の上に座らせる。  しかし、お蜜はお苗が襷掛けに背負っていた荷物を気にした。 「これ?」  中から引っ張り出すと、お茶の葉。 「お葉姉さんにもらったんだけど。飲むの?」  お蜜はそれを裏に持っていった。 「なんだこりゃ。茎ばっかりで安いの持ってきたな」  すぐに聞こえてきた甚五郎の声。  そんなことを言うが、あまりに出来すぎて驚いている。  小さな湯呑茶碗がたくさんお盆の上に乗っている。  ふらふらするお蜜を助けに行くお花。 「あら」 「まあ」 「おや」  誰もが一声。すべてに茶柱。  姉妹は縁起を配る。  見つめるお苗。お茶の子二人。 「両の縁あって良縁になる。お茶の縁だけに濃い。千之助さんがそんなこと言ってたな」 「いい恋でよかった」 「そうだな」  姉妹が持ってきた茶を幸せな笑顔で受け取る。  映る笑顔に縁起のいい柱が一つ。  どうかまた末永く笑顔でいられますように。 しまいを語り のち願わくば 恋茶のこのこ 永久再々
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