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鳥籠に捕まったカナリアは目の前に浮かぶあの空にさえも、戻ることも出来ず、ただただ歌い続けるのです。
他の仲間達に危険を知らせるかの様に、お願いだから来ないでと言っているように歌うのです。
そんな言葉(歌)にひとつも、気付かない仲間達は、カナリアの美しい歌声に惹かれ、次々と鳥籠へ自ら入って行き、一羽残らず死んでいきます。
歌わなければ、歌を知らなければ、出会わなければ、他の仲間達は死ななかったのに。
ああ、何て、
伊「なんて、愚かしいカナリア・・・・・・」
独「イタリア?」
日「どうしました?イタリア君」
いつも通りに、俯くかの様に聖書を読んでいたイタリアが本を読みながら呟いた一言に、一体何のことだと回りのメンバーは首を傾げるばかり、
それに対して、イタリアは一瞬考えごとをした後で、笑顔で顔を上げると首を振った。
伊「何でもないよー」
米「何でもないって言われたら気になるじゃないか!教えるんだぞ!」
伊「ヴェー!ひーみーつー!」
きゃっきゃと、戯れるアメリカとイタリアに、ドイツ、イギリス、中国は呆れたように、まぶく
中「全くなんアルか・・・」
英「本当だな、珍しく静かに本を読んでたら何かまぶいたと思ったらいつもの笑顔に戻るし」
独「まったくだ・・・ハァ・・・」
そして、それとうらはらに、日本、フランス、ロシア、カナダは楽しそうに目を向けた。
日(米伊はやっぱり、萌えますけど、やっぱり、イタリア君は、笑顔が一番ですからね)
仏(いきなり、まぶいたから、なんだと思ったけどいつも通りに戻ったし、まぁ、いっか、)
露(皆面白いなぁ)
加(いきなり声がしたから見たけど、笑顔だし問題はないのかな?)
近頃のイタリアは、何か思い悩んでいるような、とても真剣な顔をする時がある。
切羽詰まったような、苦悩を胸中に押し込んだような、そんな顔。
イタリアのそんな顔を一回も見たことが無かったドイツ達は、アメリカが唯一空気を壊してくれて助かったと、安堵の息を吐いた。
その表情の意味を追求しなかったことが多くの間違いだったということに気付くこともなく――
(助けなきゃ助けなきゃ)(俺が皆を何度も殺す)(今度こそカナリアは、)
END
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