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でも、日が経つにつれて次第に腹が立ってきた。ぼくが弱いのはぼくのせいじゃない。努力だってした。それこそ寝る間も惜しんで、強くなるために、妹のために。今だって、ぼくは訓練をやめていない。それなのに、ユーリはぼくをずっと責め続けてきた。
そんな日が続いて、いつしか、ぼくはユーリが憎くなってきた。正確にはユーリが持って生まれたその才能に嫉妬した。完全な逆恨みなのはわかってるけど、あそこまで露骨な敵意を向けられ続けたら、頭にきてしまう。
そして、今の関係が生まれた。ぼくはユーリを基本的に無視し、ユーリはぼくをごみくずでも見るような目で見て、視界に入れば、一族の恥さらしが、と吐き捨てる、そんな関係が。
「父上からの伝言です。今夜、夕餉(ゆうげ)の後、話があると。用はそれだけです、恥さらし」
「……父さんが? そっか、もうタイムリミット、かな……」
ぼくには父さんの話に大方の予想がついていた。きっとユーリもそうだろう。妹は口をもごもごと動かして、でも結局は何も言わずにきっ、とぼくをにらんでから教室を出ていった。
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