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「なんだ……あれは矮小な存在が生み出した陣か。期待して損した。一角獣を呼び出す力しか持たぬなど、どれだけ非力なものがあの陣をつくったのだ、情けない。雑魚が」
三角形を二つ組み合わせて出来た六ぼう星、その周りにはいろいろごちゃごちゃと奇怪な紋様が並んでいる陣を見て、彼女はいらつき全開でつぶやき、踵を返した。雑魚には興味がないのだ。
――で、再び歩き始めたまでは良かったのだが、彼女は突き出た岩に躓(つまづ)いたのだった。
岩に躓いて転ぶなんて失態を晒すなど、プライドが許さない、と酔った頭で考え、転ばぬように「おっとっと」などと声をもらし、けんけんでバランスを取ろうとしたのだが、足にうまく力が入らず、ぴょんぴょんと後ろにとんでいった。
それ自体は特に問題はなかった。問題があったのは彼女の後ろにあったものである。なにかというと、雑魚キャラの一角獣の幼体と、他世界の矮小存在が考えた陣である。その二つが問題であった。
まず、片足ではねていた彼女は一角獣の幼体をむぎゅと見事にふんづけ、「きゅあっ……!」との一角獣の声をBGMに、そのままこけた。せっかく頑張って転ばないようにしたのに、無駄な努力になった。
「きゃっ」
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