プロローグ

5/5
前へ
/40ページ
次へ
 こんなのがアマテラスあたりにばれたら……。  考えただけで背筋に寒気が走った。きっと1万年くらいは笑いの種にされる。最悪だ。 「おい、貴様!」と、彼女は一角獣に声をかける。「このこと、誰にも言うでないぞ! もし、このことを口外したらそのときは――」  セリフは最後まで発せられることはなかった。完全に他世界へと送られてしまったのだった。  こうして、世にも間抜けすぎる使い魔契約が成立――するのだろうか? 正規の契約ではないので、陣を作った人間を殺してすぐにでも戻ってくる可能性もある。  彼女に踏まれた不遇の一角獣の幼体は、 「きゅ、きゅうう……」  さすが最弱。いまだに死にそうな体(てい)でもだえていた。その胴体にはさっきまではなかった紋様が浮かんでいた――
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加