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放課後。校舎裏、普段ならば人が寄りつくはずのない場所で、ぼくは4人の級友に囲まれていた。
「さあ、サイツ」いやらしいニヤニヤした笑みを唇にのせて、ぼくの名前を吐き捨てるようにして呼んだ。「今日も特別訓練、よろしくたのむぜえ?」
特別訓練だって? よく言う。このぼくが誰かの訓練相手になんかになるわけがないだろ、落ちこぼれなんだから。
故に、これは特別訓練という名の、彼らのストレス発散なのだ。落ちこぼれのぼくをみんなでよってたかって殴って蹴って踏みにじってを繰り返す、ただの暴力行為。
「ほう……れ!」
その言葉と振り上げたこぶしが合図だった。父に比べたら、ドンガメでしかないその一撃は目でとらえることはできる。でも、避けることはできない。避けきる前に、攻撃があたってしまうからだ。
正面から腹を殴られ、その衝撃に呻(うめ)く間もなく、後ろから背中を蹴られる。次は膝を蹴られ、また腹を殴られる。
――なけなしの抵抗をして、今日もぼくは虐げられる。
☆ ☆ ☆
いつもこれはだいたい1~2時間は続く。終わると、ぼくはぼろぼろだ、顔以外は。顔に傷を残してしまうようなことをしないだけの頭を持っているのがひたすらに憎い。
「今日はこれで終わりにするか」
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