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あれた呼吸を整えながら、主犯格のコールドが言う。
「じゃ。また明日も頼むぜえ? サイツ・テリアさんよ」続きを馬鹿にしたようなトーンで、「テリア家の武術でよわいよわいぼくちんたちをきたえてくださーい」
げらげらと、一人だとぼくを殴る勇気もない取り巻きたちがげらげらと笑う。彼らはそれで満足したのか、そのままこの場を去って行った。
そのまましばらく、ぼくは身体の痛みが引くまで地面に横たわって顔を伏せたまま動かなかった。
「くそ……ちく、しょう……!」
痛みが引いたところでぼくはむくりと立ち上がる。まだ身体は痛むが、我慢できないほどじゃあない。
土で汚れた制服を、手で払う。身体が痛んだが、いつものことだから無視した。汚れが目立たなくなってようやく、ぼくは歩きだす。
よろよろとした足取りで校舎裏から昇降口に回り、おきっぱなしの鞄を取りに戻る。ぼくの教室は校舎3階にある。この階段が最近の悩みだった。ずきずきと痛みを訴えてくる足に3階までのぼるのはキツいのだ。最近は慣れてきたけど。
教室に入ると、ぼくは息をのみ、立ち止まった。この時間、いつもは誰もない教室は、しかし今日に限ってはまだ一人の生徒が残っていたのだ。別に誰かがいることは問題じゃない。問題なのはいる人物だ。
くだんの人物はぼくの姿を認めると、すくっと立ち上がり、こっちに歩み寄ってきた。目の前で立ち止まり、鋭いまなざしでぼくを見る。
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