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夜の8時。携帯を片手にして横には正座するすばるくん。自分でもびっくりするぐらいプライドが高い俺は相変わらずすばるくんに生意気な態度でいた。
付き合いはじめた当時から俺の目付きが怖いから睨むのだけはあかんって言われてたんやけど(睨んでるつもりはないんけど…)
多分今の俺はすばるくんをあり得ない目付きで睨みつけてるのかと。せやないとすばるくん、正座なんかせえへんし。ずっと俯いとるし。
「……あの、亮……」
「…なん。」
「……その顔やと、……怖くて話せへんねやけど…………」
「…………」
「…ぁ、……いや……ちゃっ……すまん…なんでもない……」
すばるくんは口下手で不器用って言うけど俺はそれ以上に、というかもうコントロールもわからんくらい不器用なんやと今思った。
そう言って俺をチラチラ流し目で見ながら、少ししたらまた俯いて黙り込むすばるくん。ほんまは俺が幼稚なだけやのはわかってんねやけどそれに腹を立てる自分がおって。
すばるくんが話したいことはわかる。でも俺が怖がらせてるからすばるくんは言われへん。でも俺はわざとやないし、すばるくんの気持ちが聞きたい。
パニックになった挙げ句の果てにはすばるくんをこの手で押し倒していた。
「ーっうあ!?りょ、な…」
「横山くんに短い方がいいって言われたから髪切ったんですか?」
こうやっていつまでも餓鬼やからすばるくん一人もろくに笑わせてあげられへんねんやろな、俺って。
「……は?横?は?は??……は?」
「…何とぼけてん。横山くんに「髪切った方がかっこいい」って言われて万更でもない顔してたやんか」
「……すまん。覚えてへん。」
「はあっ!?」
「…亮が長いのが好きやからのばしてって言うてくれたんは覚えてんねやけど……」
「……なんで切ったんですか?」
「……いや、亮がショック受ける顔を見たくて……あの…………その………………(笑)」
そう声を噛み殺して笑うすばるくんに俺は開いた口もふさがらへんかった。
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