シンシア・フィッシャーの定義

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退屈? 自分だけを視界に入れたままでも、時間のつぶし方はいくらでもある。 孤独? そんなもの笑い飛ばせば誰でも一緒。 愛情? 誰のためにその感情は存在してるの? 私の視界に映る、動いて喋る物体たち。 どこか距離を置いて観察していれば、どうして自分はここに居るんだろうと、ふと何度も疑問に思ってしまう。 その疑問の時間が、 私にとって最悪に憂鬱な時間だ。 「西条。さすがだな、またお前だけ満点だ。」 数学の教師であり、担任の日向野は誇らしげに笑うと、 私の答案用紙をクラスメイトたちにおおっぴろげにして見せた。 ヒラヒラと答案用紙を揺らす、満足げな熱血男。 ・・・人のプライバシーを勝手に晒さないでよ。 相変わらずの担任に少し嫌気がさしながらも、私はイスから立ち上がり、日向野のいる教卓に向かった。 そして、日向野から答案を受け取る。
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