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・・・先生が鍵を閉め忘れたとか?
それとも・・・私の他にも、この屋上に誰か来てるんだろうか?
じゃあ鍵はどうやって開けたんだろう?
私みたいにピッキングとか?
でも、そこまでして屋上に入ろうとする変人なんて居るの?
自分のことは棚に上げながら、私はゆっくりと屋上の扉を開いてみた。
ギィ・・・
少し錆ついたドアからは、いつものように鈍い音が鳴る。
するとドアを開けた途端、強い突風が私の長い髪を吹き上げた。
うわ・・・今日風強い。
乱れた前髪を掻き上げながら、強い風が吹く中、私は目を細めながらも前方を見据える。
するとそこには・・・
コンクリートの端のすれすれに立っている、
今にも屋上から飛びおりそうな男の後ろ姿。
安全のために設置された高いフェンスも意味をなしてなく、軽々と柵の向こう側に飛び越えられている。
“飛び降り自殺”
そんな単語が頭に浮かんだと同時に、男は私の方を振り向いた。
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