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「・・・アナタ、何してるの?」
とりあえず数歩近づいて尋ねてみると、佐伯はまた私に背を向けて、
足場スレスレのところに足を置き、下を覗きこむように背中を丸めた。
突風が吹けばその拍子で、地面に真っ逆さまに落ちてしまいそうなのに、なんて無防備な体勢だろう。
「う~ん・・・ちょっと確認してたんだよね~。
ココってどんくらい高いのかなぁって思って。」
「は?何で?」
そんな命がけなことをしてまで、何で佐伯が屋上の高さを気にしなきゃいけないのよ。
そんな疑問を抱きながら、私は更に佐伯の方に足を踏み出す。
すると、佐伯はようやく地上を覗きこむのをやめ、私のいるフェンスの方に近寄って来た。
「あーあ。ココ、ダメだわ。
下に芝生があんの。屋上から飛び降りても、運が良ければ生き延びちゃうよ。死ななきゃ意味ないのにね~。」
ダルそうに頭を掻きながら、
残念そうに唇をとがらせる佐伯。
・・・何かよく分かんないけど、
とりあえずこの男、やっぱりこの髪の色同様、頭がオカシイんだろうか。
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