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最初は衝撃的だったものの、どんどん興味の風船がしぼんでいく。
・・・もともと佐伯なんて私が一番苦手とするような人間じゃないか。
集団が嫌いでわざわざ屋上に来たっていうのに、
何で佐伯みたいなチャランポランな奴と出くわしてしまったんだろう。
そんなことを考えながら、太陽に透けて輝くオレンジかかった茶髪を眺めていると・・・
「ねぇ。
天才少女の西条さんは、どうして俺がこんなところでこんなバカみたいなことしてるのか、気にならないの?
さっきから心ここにあらず、って感じだけど。」
佐伯はフェンスに手をかけて、更に顔を寄せてきた。
悪戯っ子の少年のような笑みを含ませた整った顔立ちが、私をジっと見つめる。
・・・何が言いたいんだろう、佐伯は。
「・・・別に興味ないよ、アナタのことなんて。」
「・・・・・・えー。
そんな寂しいこと言わないでよー。超ショック。」
『超ショック』なんて言いながらも、佐伯は可笑しそうに、そして何故か嬉しそうに笑った。
純粋に喜ぶようなその笑顔に、ますます私の頭の中は疑問で一杯になる。
・・・佐伯ってもしかして・・・M・・・?
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